世界一「寒い絵」ってどんな「絵」?
こんにちは、画家Gさんの籏山 隆志です。
私は普段アクリル絵の具で絵を描いてます。
古民家、古い店舗、古い工場など、廃墟とまで行かずに古くても人の営みが感じられる建物や風景などなど。
そこのあなたは絵を見ていて
「何だか、寒~い絵」
ってなったことありませんか?
なんでそんな風に感じるんだろう、
なんて考えたことがありませんか?
今回は、とても上手いと思う絵なのに「寒っ」ってなる絵について解説します。
これって何百枚も絵を描いてきて技術的に上達してくると陥りがちなんですねー。
では、ぜひ最後までお付き合いしてください。
世界一「寒い絵」ってどんな「絵」?
ズバリ、何も伝わらない絵です。

俗に言う「上手い絵」ってのは、
・基礎がしっかりしる
・高度な技術で描かれてる
・デッサンが超絶うまい
・背景がしっかり描けてる
・色塗りがとても美しい
などなど・・・
ですが、見ていてなんか「寒っ」って感じる絵があるよね。
ここで言う「寒い」ってのは、
・極寒の地で凍えそうにしている絵
・寒風吹きすさぶ中で寒さに耐える絵
ってんじゃなくて、
超絶上手いんだけど「つまらない絵」ってことです。
なんで他を圧倒するくらい上手く描けてるのに「寒い絵」になってしまってるのか?
それは、伝えたいことがその絵には入って無いからです。
モデルとかモチーフは上手く描けてるんだけど自己満足、自己中で描かれてて伝えたいことが無い絵って、
見る側にとって心を動かされる情報がほとんど入っとらんので「寒く」=「つまらん」く感じるんだよね。
次の章では上手く描けてるのに、
どうしてそうなってしまうのか、お伝えします。
世界一「寒い絵」ってどんな「絵」?
技術とか技法に走った絵は「寒いっ!」

つまり、技術にばっかり走ってしまってるんですね。
その結果、描かれた絵からは魂とかハートが全くと言っていいほど感じられない。
要するに「策士、策に溺れるっ」てなことで
例えば、
「俺は★★芸大を出てんだぞ、スゲーんだぞっ」
「どう、私の『絵』上手いでしょっ。こ~んなんも描けてしまうのよっ、ホーッホッホッホッ」
「ドヤッ、写真なのか絵なのか分かんない位リアルに描けてんだろ」
「背景も細けーっしょ、雰囲気バッチリッしょ?!」
みたいなことしか伝わって来んくて、ファンタジーの世界かお花畑の中に入っちゃって幻想ん中でホルホルしてる。
例えるなら、
風景スケッチをCADを使って描いた図面みたいに。
そらま確かに、絵的には正しいし正確な「絵」にはなってるよね。
でもそういう絵って、見ていて何か「寒い」「つまらん」「面白くない」ってなるんだなこれが。
例えば文章でも、論文とか教科書を読んでて面白いって思いますか?
学校の教科書って読んでてもちーっとも面白くないです。
ところが、
それを教える先生によって「寒い」教科書による授業が一転して面白くなっちまうことってあるでしょ。
これって結局、伝えようって思いがその人によって異なるからなんだよね。
教条的に機械的にただ読むだけの人と
自分の経験や体験、失敗談なんてのを絡めながら話す人のとでは相手の受け取り方が全然違ってきます。
絵もそれと同じです。
下手くそな絵、落書きみたいな絵なんだけど多くの人の心を掴んで離さない。
次の章では「寒い」の真逆でそんな「熱い」絵を描いた画家さんを紹介します。
世界一「寒い絵」ってどんな「絵」?
「寒い」の真逆
「熱い」絵を描いた巨匠2人紹介します。

上手くはないけど「熱い絵」ってのは数多くあります。
それは、触ったら「アチッ」ってなってヤケドする絵・・・
じゃなくて、
伝えたいことがすんげー強ーくあって、
下手くそなんだけど、落書きみたいなんだけど、
「寒い」じゃなくて「熱い」絵を描いた二人の巨匠を紹介します。
アンリ・ルソー
引用元:Google画像検索
引用元:Google画像検索
この画家さんが描く人物は真正面か真横を向いていて、目鼻立ちなんざあなた、
類型化【注】されててどれもおんなじに見える。
【注】類型化ってのは、性質や特徴など類似したもんを集め、その共通点を取り出してまとめることね
風景画は遠近法なんざガン無視っ!
樹木とか草花は葉っぱが一枚一枚が几帳面に描かれてます。
んな風に一見すると稚拙(ちせつ)に見える技法を使ってるんですが、
彼の作品は完成度と芸術性が高いものです。
「日曜画家」なんて呼ばれてましたが、んなもん超越してます。
19世紀末~20世紀初めっていう時期に、
キュビズムやシュルレアリスムを先取りしたとも言える独創的な絵画世界を創造したんです。
ルソーはジャングルを舞台にした作品が多数あります。
ですが、本人はジャングルがある南国に行ったことはなくて、パリの植物園でスケッチした色~んな植物を組み合わせて、誰も見たこともない幻想的な景色を作り上げたんですね。
でもって、写真とか雑誌の挿絵を元にして構図を考えた作品もあります。
「6歳児が指で描いた様な絵だな」
「パレットじゃなくて舌を使ったんじゃないか」
「世界一下手くそな画家」
と散々な言われようだったんです。
ですがルソー自身は、
んなことは意に介さず当時の巨匠の仲間入りが出来たと思ってドヤ顔だったんですねー。
絵描きたるもの、こんのくらいの強いメンタルが必要なのかも知れない。
ジャン=ミシェル・バスキア
引用元:Google画像検索
落書きみたいな絵を描いた画家さんです。
黒人アーティスト(本人はこのレッテルを非常に嫌った)としての葛藤や
虐げられた人々を代弁したような思いが籠もった、黒人差別を題材にした作品を多く残しています。
バスキアの特徴ひとつ「挑発的二分法」という表現技法があります。
「金持ちと貧乏人」」「黒人と白人」など相反する2つの要素に焦点を当て、絵画上に取り入れてその対比を強調するという表現方法です。
そんな風に、言葉では表現し切れない思いを芸術によって表現したんですね。
ズバリひと言、
心の叫びを伝えたかったんです。
黒人であるが故の差別や偏見で虐げられ、
たとえその差別的な扱いを声を限りに叫んだとしても、黒人である、というだけで全く相手にもされないし、取り上げられる事もない。
そんな中で湧き上がる「怒り」「悲しみ」「絶望」「苦悩」などを自身が描く絵の中に叩き込んだんです。
バスキアの絵を見てると、子供のいたずら描きのようで楽しい、なんてことは全く無くて、なにかしら、鬼気迫る感じを受けます。
そこのあなたはどう感じますか?
例え技術的に稚拙、幼稚、未熟でとてもじゃないが人様に見せらんない様な絵だってこんな風に、何かが伝わって来る絵は「寒い」の真逆で「熱い」絵になるんだね。
では、今回のあとがきとして、
世界一「寒い」絵ってどんな絵?
あとがき

世界一「寒い」絵とは?
伝えたいことが入って無い絵です。
・基礎がしっかりしる
・高度な技術で描かれてる
・デッサンが超絶うまい
・背景がしっかり描けてる
・色塗りがとても美しい
って絵は上手い絵っていわれています。
しかし、
・見る人たちの心が動かない
・魂が震えるような感じが全くしない
と感じる絵は「寒い」
つまり技術にばかり走ってしまってる。
絵描き自身が、
「★★芸大を出てる者ですが・・・、私って凄いんです」
「私の『絵』上手いでしょ。こんな絵も描けてしまうのですよ」
「どうですか、写真なのか絵なのか分かんない位リアルでしょ」
「背景も細かく描けてるし、雰囲気もバッチリ出てるでしょ」
という感じで、
ファンタジーの世界の住人になっているか、頭の中がお花畑になっていて幻想ん中でホルホルしてるんですね。
いかがでしたか。
世界一「寒い」絵ってどんな絵?
「ま、何となくわかった」
「少しは理解できたかな~?」
「それとなく、伝わってはきたよー」
なんて言ってもらえたら幸いです。
どうも、最期まで読んでくれてありがとうございました。
ではでは、また別のトコロでお会いしましょう。