引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
こんにちは、画家Gさんの籏山 隆志(はたやま たかし)です。
私は普段アクリル絵の具を使って絵を描いてます。
古民家、古い店舗、工場、産業廃棄物
などなど・・・
あなたは、幻想絵画(ファンタスティック・リアリズム)ってご存知ですか?
文字通り幻想的なモチーフが描かれた絵画のことです。
今回は、その幻想絵画を描く代表格、その絵を「3回見たら死ぬ」とか「終焉の画家」「滅びの画家」とか呼ばれていますが、その悪魔的な画風で世界中のファンを魅了しているズシスワフ・ベクシンスキー(1925~2005 ポーランド)という画家をご紹介します。
(ベクシンスキー自身は幻想画家と呼ばれるのを非常に嫌った)
ベクシンスキーの描く絵は、ただ単に悪魔的でグロいとか怖いというだけではありません。
その一方で独特の荘厳さと美しさ醸し出し、見る者を圧倒する作品も多くあります。
なんでそんな不吉な呼び名が付いてしまったのか?
不吉な名の元になったベクシンスキーが生まれ育った背景と絵を解説していきます。
ぜひ、最後までお付き合いしてください。
ベクシンスキーの作品集は現在中古品でしか取り扱いがありません。興味がある方は下記からどうぞ。
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ベクシンスキー作品集Ⅰ
ベクシンスキー作品集Ⅱ
ベクシンスキー作品集Ⅲ

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戦争体験の影響が大きかった?!
引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
「終焉の画家」の真骨頂
- 「死」
- 「損壊」
- 「廃退」
- 「腐敗」
- 「寂寥感」
- 「恐怖」
など、ありとあらゆる不吉な言葉で表現されるのがベクシンスキーの絵です。
そりゃまあ、彼の残した作品を見れば、なんでそんな不吉な名が付いたのか分かります。
これらの作品を見て、癒(いや)されるー、な~んて感じるんなら、あなたの精神状態はとーっても危険が危ないです。
引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
「終焉の画家」という呼び名が付いた数々の作品は、多感な時期に受けた影響が大きいでしょう。
若い頃に見たり聞いたりした経験、体験はそうは簡単に記憶の中から消し去ることなんて出来やしません。
ベクシンスキーは、多感な時期にポーランド侵攻【注】を経験していて、この戦争を経験したことと、建築業に就いていたことが彼の作風に反映されてます。
言いようのない寂寥感や殺伐とした荒野、虚無感や恐怖に支配されて永遠の廃墟と化した雰囲気はそこから生まれるものであると確信できます。
【注】
ポーランド侵攻(ポーランドしんこう)とは、1939年9月1日にドイツ国およびドイツと同盟を組むスロバキア共和国が、続いて1939年9月17日にソビエト連邦がポーランド領内に侵攻したこと。ポーランドの同盟国であったイギリスとフランスがイギリス・ポーランド相互援助条約(英語版、ポーランド語版)、フランス・ポーランド相互援助条約(英語版)を元に9月3日にドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が始まった[注 1]。(中略)
引用元:ウィキペディア ポーランド侵攻
ただ単にグロいとか怖いって言うだけじゃありません。
独特の荘厳さと美しさを持ち、思わず仰け反るほど圧倒される作品もあります。
ベクシンスキーの絵はどの作品にもタイトルが付いてません。
なぜかと言うと、彼が作品の理論付けとか詮索をむちゃくちゃ嫌ったんですね。
- 「描きたいから描く」
- 「描きたいものを描く」
- 「描きたいように描く」
みたいに・・・
これは、まだ就学前の子供たちが絵を描く時の心理と全く同じです。
描く上げる世界はグロテスクでおぞましいですが、絵に向かうときのベクシンスキーの心は子供たち同様に純粋そのもだったのかも知れません。
次の章で、ベクシンスキーの心の元になった背景をもう少し掘り下げて見ていきます。
強烈な戦場場面がトラウマになった?!
引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
ポーランド侵攻による経験とか体験を、ベクシンスキー自身は語ってはいません。
話が逸れますが、知り合いに戦争の生き証人と言える、ご老人がおられます。
「戦争ん時ってどんなんだったー?」
なんて、戦争未体験者である私の無責任極まる問いには
「話すことなんざ、何もねーわさっ」
という感じで、戦争体験の話をするのを非常に嫌がります。
終戦間近、その方は「旧満州」にいたんですが、その時に人が殺されるのを眼の前で目撃してるんです。(そのご老人の娘さんから聞きました)
そんな風に、あまりにも強烈過ぎる体験は、とてもではないけど話す気にはなれないんですね。
激烈な戦闘の名残である、
- そこかしこの建物に残る銃弾跡
- 爆弾が炸裂して地面に空いた大穴
- 破壊されて残骸と化した乗り物
- 空襲で焼け焦げた家畜の死体
などなど。
更に先のご老人と同様に、ベクシンスキーも人が虐殺される場を目撃する、というような創造を絶する体験をしているのかも知れません。
ベクシンスキーの作品はそんなこんなを象徴してる気がしますが、あなたはどう思いますか?
次の章では、彼の悪魔的な作品の中でも特にヤバいとされてる3枚を紹介します。
特にヤバい!3作品はこれっ!!
その作品の中には「3回見たら死ぬ」と言われるのがあります。
もっともチラ見したぐらいでは死ぬことは無いみたいですが・・・
【閲覧注意】です。
気分が悪くなった方は、直ぐに離脱してください。
どんな力が作用してそうなるのか、ハッキリ実証実験などが行われた訳じゃありませんので分かりません。
ベクシンスキーワールド全開の退廃的な世界に呑み込まれてしまい、何度も見てるうちに発狂してしまった人たちが世界中で出たんですね。(そこんトコロは都市伝説という感じがしますが)
そのような経緯があって、ベクシンスキーの絵は、「3回見たら死ぬ」としてネット上で有名になりました。
「地獄」を描いたとされる絵
- 空爆によって燃え盛る町の中を、大やけどを負い歩くことすらままならず獣のように這って逃げる人?
- 人外の異形のモノが獲物を求めて這い回る?
など、どう解釈するかはあなた次第です。
長時間見てると精神がやられると言われてます。
引用元:Google画像検索 ベクシンスキーより
骸骨?餓死寸前?をモチーフにして描かれた絵!?
相手を慈(いつく)しみ、慰めあって、お互いを守るように抱擁し合う愛し合ってる二人の図なんですねー。
引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
と、言いたいところですが、ベクシンスキーの場合、絵のテーマが「死」「退廃」「絶望」などを連想させるんで、
- 命からがら戦火の中を逃げ惑った
- 食べる物が無く餓死を待つ
- もはや逃げる場所すら見いだせずに絶望
- 為す術も無く死を待つ2人
という感じで、希望とか明るい未来なんて全く感じられないです。
非人道的な戦禍の中では、こんな場面がそこら中で展開されていたであろう事は想像に難くないです。
愛とか癒やしなんてのを、ベクシンスキーの絵に求めること自体間違ってます。
この絵も長いこと見てると「死ぬ」って言われてます。
「う~ん・・・この作品はあーたらこーたら、あーなって、こーなって・・・、で、つまりはこーだよねー」
って感じで深く考えながら見ないほうが良いかも?
「うおおおおっ、なんか心臓ーがぁーっっっっ」
「な、なんだぁぁぁぁ~・・・なんか急に・・・あ、頭が割れそうに・・・」
ってなっても知りませんがな。
でもって、止めの一撃!
ズジスワフ・ベクシンスキーの作品の中で一番有名な絵
引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
荒涼とし殺風景な荒野のなかに置かれた、ゴシック調の装飾が施された椅子。
そこに、厳かに、飾る様に置かれた人の生首。
これぞ「3回見たら死ぬ」って言われている絵ですが、私ゃ何回も見てるけど未だにピンピンしとります。
ベクシンスキー自身がどんな精神状態で描き上げたのか知る由もありませんが、彼自身が育ってきた環境に大きな影響があるのは間違い無いでしょうね。
確かに見てるとヤバいって感じがします。
ということでベクシンスキーの作品の中でも特にヤバいとされる3作品を紹介しました。
そんな中、ベクシンスキーの作品の中にはとても美しいと感じる絵もあります。
ベクシンスキーの美しいと感じる絵
引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
「深淵より来たれ異形の神々よ」
なーんて怪しげな魔法使いの召喚魔法によって、何モノかが出てきそうで不気味な感じがしない?
そんな中で荘厳さと美しさを兼ねていて圧倒されてしまいます。
ベクシンスキーの描き上げる絵の構成は、まさに直球勝負で、バロック【注1】とゴシック【注2】の技法を使い分けてます。
↓【注1】
(中略)「バロック」という用語はもともと侮蔑的に使用され始め、作品の強調表現があまりに行き過ぎていて品位に欠けるいびつなものという意味が含まれていた。また、アリストテレスの三段論法についての著作の歴史的用語「バロコ (Baroco)」を語源とするという考えもある[11]。奇抜な強調表現、過剰なまでに描きこまれた細部表現を意味する用語で、ルネサンス芸術の特性である合理的で抑制された作風とは好対照をなすものとして用いられていた。(中略)
引用元:ウィキペディア バロック絵画
↓【注2】
(中略)今日のポピュラーカルチャーにおいてもゴシックという言葉は広く使われている。そこでゴシック的とみなされているものは、例えば闇、死、廃墟、神秘的、異端的、退廃的、色で言えば「黒」といったイメージである。(中略)
引用元:ウィキペディア ゴシック
主題となるモチーフをほぼ中央に入れて、スポットライトを当てるようにし、主題が前面に出てくるように演出されています。
スポットライトと言ってもLEDのような強い光を当てて、前面にグイグイ出てくるようにはなってません。
例えば主題となるモチーフの輝度と明度を上げて、上記で言う強い光が当たったとします。
すると生首さんや、異形のモノモノさんが、ズモモモモぉぉぉぉぉ~、とか、ズゥリリリリィィィィ~(どう表現していいんか分からん)って感じで前のおん出てくるんで、怖い怖い怖い!これは怖いって。
なので20~30ワットの白熱球のような薄暗いライトを当てて、ボワ~ぁぁぁぁぁって感じで主題があまりにも強く主張し過ぎないように描かれてます。
ベクシンスキーの絵って、不気味で退廃的な混沌の世界を描いてますが、意外にもこんな形で画面全体の秩序と調和が保たれてるんですね。
あなたはどう感じますか?
では、今回のあとがきとしておきます。
あとがき
引用元:Google画像検索 ベクシンスキー
ズシスワフ・ベクシンスキー(1925~2005 ポーランド)
その絵を「3回見たら死ぬ」とか「終焉の画家」「滅びの画家」と呼ばれている。
ベクシンスキーの描く絵は、
- 「死」
- 「廃退」
- 「絶望」
- 「破損」
- 「終焉」
- 「腐敗」
などをテーマにしたもので、ポーランド侵攻による強烈な戦争体験の影響が大きいと思われる。
激烈な戦闘の名残である、
- そこかしこの建物に残る銃弾跡
- 爆弾が炸裂して地面に空いた大穴
- 破壊されて残骸と化した乗り物
- 空襲で焼け焦げた家畜の死体
- 無慈悲にも惨殺された人々
など。
その一方で建築業に就いていたこともベクシンスキーの絵に反映されており、荘厳で美しいと感じる作品も残している。
「終焉の画家」とか「滅びの画家」とか、不吉な呼び名で称されるズシスワフ・ベクシンスキー。
幻想絵画(ファンタスティック・リアリズム)の第一人者と称されることもありますが、彼はそのその幻想画家であることを非常に嫌い、否定しています。
その悪魔的な画風で世界中のファンを魅了し圧倒的な指示を得ました。
がしかし、彼自身が悪魔に魅了されてしまったのか、ワルシャワの自宅で刺殺体で発見されるという痛ましい最期を遂げました。
という感じで終わりっ!
どうも、最後までお付き合いして下さりありがとうございました。
ではでは、私もあなたもベクシンスキーワールドに呑み込まれていなければ、また別のところでお会いしましょう。

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