アクリル絵の具の描き方、塗り方とは?
こんにちは画家Gさんの籏山隆志です。
私は普段アクリル絵の具を使ってポップで漫画チックな絵を描いてます。
古民家、古い店舗、工場などなど。
あなたはアクリル絵の具って使ったことありますか?
アクリル絵の具は透明水彩画風にも油絵風にも使えるとーっても便利な絵の具です。
今回は、そんな万能選手とも言えるアクリル絵の具を使った描き方、塗り方をお伝えします。
基本的な描き方や、チョット変わった描き方なんてのも出来るだけ分かりやすーく解説します。
もっとも描き方、塗り方っ!つっても「これが正解じゃーっ」なんてのは存在しません。
この記事読んで実践すれば、
絵を描く楽しさが爆上がりしますので是非最後までお付き合いして下さい。
アクリル絵の具の基本的な描き方とは?
最初に重要になるのは、どんな技法を使うか、どんな画材を使うかじゃなくて、
あなたがどんな絵を描きたいか?です。
アクリル絵の具の使い方に正解なんてのはありません。
ですがあなたがどんな絵を描きたいのかがハッキリしてないと間違いなく迷子になります。
「この描き方で、自分のスタイルを確立しよう」って、1つの描き方に頭が固まってしまうことがあります。
なので自分はどんな絵を描きたいのか、明確な方向性を持って描きましょう。
更に気をつけて欲しいのは本とか情報を鵜呑みにしないことですね。
そういったものが悪いと言ってる訳じゃなくて、本の情報が正解だと思いこんでしまうのが危ないです。
アクリル絵の具は自由度が高く水彩画風にも油彩画風にも描けます。
なので、ある本を読んでこれが唯一無二の描き方だって、思い込むととお~っても損をします。
まず、アクリル絵の具はどんな描き方でも出来ることを頭に置いておきましょう。
だけど、本を読んだり、絵画教室で学んだりするのは重要です。
例えば、
筆使いや描き方を真似るとか、
お気に入りの絵を模写するとか、
はじめっからあなたのオリジナリルな絵を描こうとしても描けるようになりません。
アクリル絵の具の基本的な使い方には主に2つあります。
と、その前に!
全ての技法に共通する部分ですが、
下描きを描くのに鉛筆を使う方が多いと思います。
ですが、鉛筆の黒色が絵の具を乗せた時に混じってしまい色が濁ってしまうことがあります。
なので、この鉛筆の色が落ちない様に「フィキサチーフ」という画材を使い、固着力の弱い画材の上に吹きかけましょう。
そうすることで、キッチリ固着させ、耐水性に出来るので面倒がらずに使った方が良いですよ。
①水を多めに使い透明水彩画風に描く

②水を少なく、もしくは殆ど使わずに油彩画風に描く

つまり、使う水の量で両極端な絵が描けるんです。
まず①から解説します。
この場合キャンバスよりもブロックタイプの水彩紙が使いやすいです。
「ブロックタイプって、何じゃい?」
って思ったそこのあなた、
ブロックタイプってのは10枚~20枚位の水彩紙が重なって出来ている製品です。
紙の四辺が糊で固定してあるんで、水を使って描く場合紙がよれなくて使い勝手がいいです。
あんまりダッバダバに濡らしちゃうとサスガによれますが、水張りしなくてもいいんで便利ですよ。
まず刷毛か筆で水彩紙を水で濡らします。
紙を立てた時に水が流れない程度にするのがコツです。
ここにインク状にまで溶いたアクリル絵の具を載せていきます。
濡れた紙に水を多めに含んだ絵の具を載せるとジワ~って感じで絵の具が滲(にじ)んでいきますので、この時に出来る滲み、ボカシを利用して描きます。
次に②の油彩画風に描く方法ですが、
アクリル絵の具を油彩画風に描く場合、絵の具と筆にあんまし水を付けず硬めの筆で描きます。
(豚毛の筆が硬すぎるって感じる方はナイロンの筆がおススメです)
そうすると割りかし厚く塗ることが出来るんですが、アクリル絵の具は油絵の具と違い、乾燥するにつれ引けてしまいます。(つまり体積が少なくなるのね)
ここらへんがアクリル絵の具と油絵の具の大きな違いですね。
ですがメディウム類の中のジェルメディウムを使うことで、厚塗りした絵の具の体積を減らないようにすることが出来ます。
いろーんなメディウムが揃ってるんでこれらを使うことで、ひっじょーに表現の幅が広がります。
では次の章でアクリル絵の具のチョットの変わった描き方、塗り方を紹介します。
アクリル絵の具のチョット変わった描き方、塗り方とは?
ボカシ技法

この描き方は私の絵の先生、画家プロ!「ZinArt」師匠のオリジナル技法です。
刷り込みブラシとボカシブラシを使う描き方で、興味のある方はこちらへどうぞ、
【YouTube ジンジンアートch】 https://bit.ly/2unbqXQ
↓素人の私でも、こんな絵が描ける様になります。
(注:これは有料絵画教室の課題作品です)

ウエットインウェット
水彩画風に描くなら基本中の基本になる技法です。
前の章①の描き方を参考にして下さい。
ドライブラシ
乾燥気味の筆を使って描く技法です。
上記のウエットインウエットとは真逆な描き方になります。
乾燥気味な筆を使い、絵の具を少量付けてキャンバスや紙に描きます。
この描き方で気をつけて欲しいのは、
・筆に含ませる水分量
・絵の具の量
ですね。
絵の具や水の量が多いと上手くカスレません。
練習用の紙などにチョコっと描いてみて、多いかなと思ったら予め用意した雑巾やティッシュペーパーで余分な絵の具、水分量を取って描いてみましょう。
グレーズ
グレーズ、スカンブル技法についてはプロの画家、「岡部遼太郎」先生がエキスパートです。
You Tubeでミニ絵画教室を開いて見えるので気になる方はこちらへどうぞ、
【岡部遼太郎/Art Sudio Okabe】https://www.youtube.com/channel/UChOb2sJSlC1sRxBMCg58faQ
↓岡部先生の絵画教室でこの様な絵が描ける様になります。
(注:この作品は有料絵画教室の課題作品です)

透明色を薄く重ねていく技法で、油彩画では伝統的な技法です。
この技法で有名な画家ではウイリアム・ターナーが知られてます。
「ええっ!?じゃあ油絵の具じゃないとダメじゃん!」
って思ったそこのあなた。心配ご無用、アクリル絵の具でちゃんと表現出来ます。
ポイントは透明色を使うことで、下の層の描き込みを消さないで色を鮮やかにすることが出来ます。
アクリル絵の具もここ近年透明度が高くなって来てるので、油絵でしか表現出来なかったグレーズ技法が簡単に出来るようになりました。
更にジェルメディウムをアクリル絵の具に混ぜることで、白や黒などの不透明色でも透明色を作り出すことが出来ます。
スカンブル
半透明の絵の具を重ねる技法。
こちらの技法も薄く絵の具を重ねるという描き方ですが、先のグレーズ技法と違う点は半透明の絵の具を重ねる描き方です。
例えば風景画を描く時、遠景部分がうっすらと靄(かすみ)か霧(きり)が掛かったように見えますよね。
水を多めに使って薄く溶いた青とか白の半透明の絵の具を重ねることで表現することが出来ます。
グラデーション

色に段階的な変化を付けた描き方です。
アクリル絵の具でもグラデーションは作ることが出来ますが、
乾くのが早いアクリル絵の具は、ぼかしたりするピンぼけ状態を作り出すのが苦手なんですね。
なので、グラデーション技法を使う時は
・キャンバスを水スプレーなどを使って常に湿った状態にしておく
・メディウム(リターダー)を混ぜて乾燥速度を遅くする
で、乾ききらないうちに乾いた刷毛やファンブラシ(扇筆)で表面を軽く履く様に撫ぜることで美しいグラデーションを作ることが出来ます。
インパスト

油絵風に絵の具をを盛り上げて描きます。
よーく知られたところではゴッホですね。油絵の具を溶剤で溶かさず、硬めの筆(獣毛の豚毛がオススメ)を使いキャンバスに乗せて描いてます。
モロ筆跡を残したゴツゴツしたタッチで描かれた絵がそうです。
スパッタリング

絵の具を飛沫状にして飛ばす技法で、
インク状に薄く溶いた絵の具を少し硬めの筆に含ませ、
それを指で弾いてやり点状の飛沫にしてキャンバスや紙に飛とばしてやる描き方です。
砂、石などを描く時その質感が表現できるし、
夜空に輝く満天の星を表現するのにも使えます。
色~ンな絵で使えると思うのであなたの工夫で色々考えてみるのも面白いですよ。
ドリッピング

絵の具をキャンバスの上にぶちまけて描く技法です。
この技法を使った代表的人物は
ポール・ジャクソン・ポロック
(1912年1月28日~1956年8月11日)でアメリカの画家さんです。

キャンバスを床に置き、
・絵の具缶から直接絵の具を滴らせる
「ドリップペインティング」(滴らせ技法)
・筆に大量の絵の具を取り絵の具を垂らす
「ポーリング」(流し込み技法)
って言う独自のスタイルを展開したんですね。
これらの技法はハロルド・ローゼンバーグ(アメリカの作家、教育者、哲学者、芸術評論家)が論文で「アクションペインティング」と呼びました。
ミクストメディア
異なる画材を一緒にして描く技法です。
例えば、
・アクリル絵の具と透明水彩絵の具
・アクリル絵の具と油絵の具
・パステルとアクリル絵の具
などなど、
まあ、世にある画材の数だけ組み合わせは無限大と言ってもいいです。
ですが、複数の画材を組み合わせる時ルールがあります。
一例ですが、油絵の具の上にアクリル絵の具を塗ると固着出来ずに剥がれたりするんで注意が必要になります。
でも色々な画材をあーしてみよう、こーしてみようって使ってみると意外な発見があり、
あなたの表現方法の幅も広がるんで一度チャレンジするのも面白いですよ。
ハッチング
暗くしたい部分に線を何回も重ねて描く技法です。
漫画やペン画などで影の部分や暗くしたい所に、何度も線を重ねて描きます。
コラージュ

1つのキャンバスや用紙に他の紙などの素材を貼り付けて1つの絵にする技法です。
新聞紙や雑誌の切り抜き、そこら辺にある包装紙、布切れ、更には雑多な物体を貼り付けて造形作品を創り上げる創作技法です。
これらのモノものをキャンバスにくっつけるのに、
アクリル絵の具の「ジェルメディウム」が大活躍してくれます。
糊とかボンドも使えますが、
「ジェルメディウム」の方が接着力がダンゼン安定するんでオススメです。
コラージュ技法をやってみようと思うそこのあなた、是非一度お試しあれ。
では、今回のあとがきとして、
あとがき
アクリル絵の具の基本的な使い方には主に2つ
①水を多めに使い透明水彩画風に描く
②水を少なく、もしくは殆ど使わずに油彩画風に描く
下描きに鉛筆などの固着力が弱い画材を使う時は「フィキサチーフ」を使う。
アクリル絵の具のチョット変わった描き方11選
①ボカシ技法
【YouTube ジンジンアートch】 https://bit.ly/2unbqXQ
②ウエットインウェット
③ドライブラシ
④グレーズ
⑤スカンブル
⑥グラデーション
⑦インパスト
⑧スパッタリング
⑨ドリッピング
⑩ハッチング
⑪コラージュ
いかがでしたか、アクリル絵の具の基本的な使い方からチョットの変わった描き方、塗り方を出来るだけわかり易くお伝えしました。
アクリル絵の具は単体で使っても多彩な表現が可能だし、
各メディウムを使うことで更に表現が倍増するとーっても便利で、メリットが多い画材です。
この記事読んで興味が湧いたそこのあなた!ゼヒ挑戦してみてね。
最後までお付き合いして頂き、ありがとうございました。
ではまた別のところでお会いしましょう。
記事を読んで何か感じることがあればご意見やご感想をお聞かせください!