引用元:西洋絵画美術館
- この絵って何でモノクロ?
- 描かれた”馬”は誰なの?
- ランプの目玉は〇〇です!
- 泣き叫ぶ民衆!彼ら”目”が見てるものって何?
今回はパブロ・ピカソの傑作《ゲルニカ》を「ああ、また内戦の話ね」だけで終わらせない、「もう一歩深く踏み込んだ“別の見方”」を解説します。
視覚の暴力に満ちたこの絵――ですが、「なぜこんな構図にしたのか?」「なぜ“色”を捨てたのか?」「なぜあの“馬”が悲鳴をあげているのか?」
そんな細部に目を凝らすと、この絵が単なる戦争の悲劇じゃなくて、“報道される現実”そのものへの批判として描かれていることが見えてきます。
そんなこんなを、斜に構えて見ていきますね。
ぜひ、最後までお付き合いしてください。
改めて籏山 隆志(はたやまたかし)といいます。
絵描き歴30数年。
還暦超えのプロの画家っ!の画家Gさんです。
画家人生の中で
- 絵に関する悩みとか困りごと
- 乗り越えてきたこと
- お散歩スケッチで描いた絵とか見つけたモノ
などなどをお伝えします。
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はじめに
ピカソの《ゲルニカ》。
スペイン内戦中、ドイツ軍による無差別空爆を受けたバスク地方の小都市「ゲルニカ」の惨状を描いた作品です。美術館、教科書、図録などなどで、一度は目にしたことがありますよね。
- モノクロームで構成された巨大なキャンバス
- 叫ぶ女、倒れた兵士、燃える家、歪んだ馬
- 一切の色を排した視覚の地獄絵図
「戦争の悲惨さを告発する絵」――
もちろんそれは間違いじゃありませんが、それだけでは見落としてしまう要素が、山ほど詰まっているんです。
今回は、あの絵に隠された“もうひとつの顔”を探っていきます。
【ピカソ『ゲルニカ』】なんで白黒?
ピカソは、あれだけ色彩の魔術師と言われる人物です。なのに、《ゲルニカ》はなぜか白黒。
これは単なる「陰惨な雰囲気を出すため」じゃありません。ピカソはあの絵を”「新聞の印刷物」みたいに描いた”んですね。
つまり、《ゲルニカ》は「ゲルニカ空爆そのもの」じゃなくて、「それが報道された“メディア上の現実”」を描いているっていう見方ができます。
この解釈が腑に落ちると、絵の端々に散りばめられた“新聞紙風のタッチ”や”印刷されたような線画”の理由が見えてきます。
つまりピカソは、「出来事」じゃなくて、「それを伝えるメディア」の歪みを暴いていたんですね。
【ピカソ『ゲルニカ』】「馬」は誰!?
中央で絶叫している馬。この馬は単なる動物じゃなくて、さまざまな象徴を背負っています。
- 無防備な民衆の象徴
- ヨーロッパの伝統的な価値観
- 芸術そのものの“悲鳴”
ピカソは、伝統的な戦争画のヒロイズム(英雄的叙事詩)を破壊しようとしてました。この馬は、まさにその価値観が暴力にさらされ、傷つけられ、叫んでいる姿に見えます。
しかも、馬の体には新聞のコラージュのようなテクスチャが描かれています。そんなところから、叫び声までも“記事”として消費されていく社会への警告みたいに。
ランプの目玉、あれ何なの?
上部にある奇妙な“電球のような目玉”。これも、見逃せません。
このランプはただの照明じゃなくて、「監視の目」とも「報道の目」ともとれるモチーフ。つまり、すべてを照らしているようで、何も伝えていない光。
現代に置き換えるなら、「スマホ越しに事件を見て、誰も止めないSNS的まなざし」っていいう立ち位置かもです。
ピカソはこのランプに、ただ見るだけ、ただ記録するだけの“視覚の暴力性”を込めたのでは?って感じます。
【ピカソ『ゲルニカ』】“群衆”は何を見ている?
登場人物たちは皆、極端なまでに“視線”が強調されています。
- ギョロリと見開いた目
- 焦点の合わない目
- 泣きながらも虚空を見つめる目
彼らは一様に、「何かを見てしまった」人たち。でも、それが何だったのかは、絵の中では明言されてません。
この“見えない敵”こそ、無差別に暴力をふるう権力や、顔のない国家、そして私たち観る者自身を映す鏡になってるんですね。
【ピカソ『ゲルニカ』】は戦争の絵じゃない!“報道”のいびつさを描いた絵!!
まとめ
《ゲルニカ》は、戦争の悲惨さを訴えるプロパガンダ絵画じゃありません。それだけじゃ浅いって感じます。
むしろピカソは、
- 戦争の「出来事」よりも、「それがどのように“報じられ、記録されるか”」
- 現実の暴力そのものより、「その暴力に“無自覚で加担する目”の存在」
- 芸術が「何を描くか」より、「どんな視線を社会に突きつけるか」
――そんなテーマを問うています。
だからこそ、見るたびに
- 怖い
- 重い
- 問い
が湧いてくる。
この絵は、過去の事件を描いた壁画じゃなくて、私たちの“今”を見返してくる鏡です。
そんなこんな視点で、もう一度この「ゲルニカ」を鑑賞してみてください。全く違った感じで見えてきますよ。
どうも最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
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