この記事を読んでわかること
  • 「色」を構成する3つの要素(明度・色相・彩度)の役割と優先順位
  • なぜ「明度(光と影)」が絵のクオリティを決定づけるのか
  • 人間の脳が視覚情報を処理する際の「モノクロ認識」の仕組み
  • 自分の絵の構図やバランスを客観的にチェックする「モノクロ変換」の手法

はじめに

他の作品はこちら。

絵描き×Kindle作家で活動している、ハンドルネーム“はたたか”です。

絵描き暦30年、数多くの作品と向き合い続けてきました。

「色は綺麗に塗れたはずなのに、なぜか絵がパッとしない」

「サムネイルになると何が描いてあるか分からない」

そんな悩みを抱えてはいませんか?かつての私もそうでした。

鮮やかな「色」という魔法に魅了され、絵にとって最も重要な「骨格」をおろそかにしていたのです。

その骨格とは、ズバリ「明度」、すなわち、光と影のバランスです。

この記事では、私が長いキャリアの中で辿り着いた「良い絵の正体」について、小説調でお伝えします。

色がなくても伝わる絵こそが、真に強い絵である。その理由を紐解いていきましょう。

ぜひ、最後までお付き合いしてください。

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【独白】灰色の嘘発見器

「良い絵とは何か?」

ウイスキーグラスを傾けながら、私は若き日の自分が抱いていた問いを、ふと懐かしく思い出す。

この業界に身を置いて30年。

数多の作品を生み出し、そして葬ってきた私が辿り着いた答えは、至極単純で、それゆえに残酷なほど明快な真理だった。

「真に優れた絵は、その身から『色』を剥ぎ取られてなお、雄弁に語りかける」

今日は、その秘密――「明暗(バリュー)」という名の骨格について話をしよう。

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光と闇、そして色の正体

我々クリエイターが操る「色」という絵の具には、三つの顔がある。

  • 明るいか暗いかを示す**「明度」**
  • 赤か青か、その個性を決定づける**「色相」**
  • 鮮やかさや鈍さを操る**「彩度」**

初心者の頃は、誰もが華やかな「色相」や「彩度」という衣装に目を奪われがちだ。

だが、全ての色の根底を支えているのは、他でもない「明度」という光と影のドラマなのだ。

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モノクロームの饒舌

考えてみてほしい。

我々人間が、外界を認識する際に最も頼りにしている情報は何か。

それは「明度」だ。

古い銀幕の映画、あるいはセピア色の写真を思い出してくれればいい。

そこには鮮やかな赤も、深い青も存在しない。

あるのは白と黒、そして無限のグレーの階調だけだ。

それでも我々は、そこに映る洗濯機が回る音を感じ、桜並木の風情に息を呑み、線路の続く先に旅情を抱くことができる。

色相や彩度といった情報が欠落していても、明暗さえあれば、世界は成立する。

逆に言えば、どんなに美しい色を並べても、そこに適切な明暗の差がなければ、それはただの混沌としたノイズに過ぎない。

「何が写っているのかさっぱりわからない」という悪夢がそこに生まれる。

絵画における「最低限の情報」、言い換えれば作品の命綱は、この「モノクローム」の中にこそ潜んでいるのだ。

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極彩色な絵
AIによる生成”極彩色な絵”

審判の時

私がこの「明度」の重要性に気づいたのは、ある実験がきっかけだった。

かつての私は、色使いこそがセンスの見せ所だと信じ、極彩色の幻影を追いかけていた。

明度よりも、色相や彩度が重要だと思い込んでいたのだ。

ある夜、私は自分の作品たちを、無慈悲にもすべて彩度を落とし、モノクロに変換してみた。

それは、自分の作品に対する「審判」のようなものだった。

モニターに映し出された結果に、私は言葉を失った。

自分が会心の出来だと思っていた「良い絵画」は、色を失ってもなお美しかった。

明暗のバランスが整然としており、光の道筋が見え、画面としての強度が保たれていたのだ。

一方で、「イマイチだな」と感じていた作品たちは無残だった。

グレーの世界に沈めた途端、明暗は散らかり、コントラストは暴れ、表現したかったはずの空気感は泥のような灰色の中に溶けて消えていた。

モノクロにするという行為。

それは、絵画のごまかしを一切許さない、冷徹な「嘘発見器」だったのだ。

「色に惑わされるな。まず、光と影を見ろ」

30年前の私に声をかけられるなら、そう伝えるだろう。

良い絵は、モノクロにしても伝わる。

それが、私が長い旅路の果てに見つけた、揺るぎない真実である。

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あとがき

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

「自作をあえてモノクロにする」

それは時に勇気のいる行為です。

色彩という華やかな衣装を脱ぎ捨て、ごまかしの効かない「裸」の状態を直視することになるのですから。

しかし、その「灰色の嘘発見器」が示した結果こそが、あなたをクリエイターとして次のステージへと押し上げる確かな道標になります。

色選びに迷ったとき、あるいは構図が決まらないとき、一度「色相」や「彩度」という情報を捨てて、光と影だけで世界を見てみてください。

そこにはきっと、今まで見えてこなかった解決の糸口が隠されているはずです。

この「明度」という視点が、あなたの創作活動に新たな光をもたらすことを願っています。

※参考文献:描きたい絵が描けるようになる本 明暗・構図・配色の知識を実力に変える方法 Kindle版 しまざき ジョゼ (著) 

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